Article
電子カルテ クラウドで失敗しない選び方|標準化・連携・費用の確認軸
電子カルテ クラウドは初期費用を抑えやすい一方、責任分界や標準化対応の確認が欠かせません。クラウド型の選び方を費用・連携・セキュリティの観点で整理します。
- Focus
- 電子カルテ クラウド
- Volume
- 月間推定 1,920
- Audience
- 医療機関経営者・医療IT担当者

30秒要約
- 電子カルテ クラウドは、自院にサーバーを置かずインターネット経由で利用する電子カルテで、初期費用や保守の負担を抑えやすい一方、責任分界やバックアップ、標準化対応をベンダーと医療機関で分けて確認する必要があります。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
- 医療DXは標準化と情報共有の方向で進んでいるため、クラウド型を選ぶときも、電子カルテ情報共有サービスへの接続や標準規格への対応を確認軸に含めるのが安全です。厚生労働省 電子カルテ情報共有サービス
- クラウド型かオンプレミス型かという形だけで安全性や適切さは決まりません。費用、連携、セキュリティ、データ移行を一体で見て、自院の運用に合うかどうかで判断します。厚生労働省 医療DXについて
電子カルテ クラウドとは
電子カルテ クラウドとは、自院内にサーバーを設置するのではなく、ベンダーが用意したサーバーをインターネット経由で利用する形の電子カルテです。従来のオンプレミス型が自院に機器を置いて運用するのに対し、クラウド型は機器の管理やソフトウェアの更新をベンダー側に任せやすい点が特徴です。診療所やクリニックを中心に、初期投資を抑えながら電子カルテを始めたい医療機関で選ばれることが増えています。
クラウド型を理解するうえで大切なのは、便利さの裏側で、医療機関とベンダーの役割分担が変わるという点です。自院で機器を持たない代わりに、データの保管場所、バックアップ、障害時の復旧、セキュリティ対策の一部がベンダー側に移ります。これは負担が減ることを意味すると同時に、いざというときに自院だけでは対応できない領域が増えることも意味します。だからこそ、契約前にどこまでがベンダーの責任で、どこからが医療機関の責任かを明確にしておく必要があります。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
クラウド型電子カルテのメリットと確認点
クラウド型のメリットは、初期費用を抑えやすいこと、サーバー管理やソフトウェア更新の手間が減ること、複数拠点での情報共有がしやすいことなどが挙げられます。一方で、月額の利用料が継続的に発生する、インターネット回線に依存する、カスタマイズの自由度がオンプレミス型より制限される場合がある、といった確認点もあります。メリットと確認点はセットで見て、自院の診療規模や運用に合うかを判断するのが現実的です。
特に見落とされやすいのが、回線とバックアップです。クラウド型は通信が前提になるため、回線が止まったときに診療をどう継続するかを決めておく必要があります。また、データがベンダー側に保管されるため、バックアップの頻度や保管場所、復旧にかかる時間を確認しておかないと、障害時の判断が遅れます。これらは安全管理の観点として、製品の機能だけでなく運用面でも確認しておきたい項目です。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
標準化・電子カルテ情報共有サービスとの連携
クラウド型を選ぶときに、これからの医療DXを見据えて確認したいのが、標準化への対応です。医療DXでは、電子カルテ情報共有サービスや標準型電子カルテといった仕組みが整備され、医療機関の間で標準化された診療情報を共有する方向に進んでいます。クラウド型電子カルテがこうした標準仕様や情報共有サービスに対応できるかどうかは、将来の連携や乗り換えに影響します。厚生労働省 電子カルテ情報共有サービス
クラウド型電子カルテの選定では、次のような流れで確認軸を整理すると判断しやすくなります。
デジタル庁も健康・医療分野のデジタル化を関係府省と連携して進めており、クラウド化はその基盤づくりの一部にあたります。クラウド型を単体の便利なツールとしてではなく、医療DX全体の中でどう位置づくかを意識して選ぶと、導入後の連携で困りにくくなります。デジタル庁 健康・医療・介護
クラウド型を選ぶときの確認軸
クラウド型電子カルテを比較するときは、機能の数ではなく、次の確認軸で自院の要件に合うかを見ます。安全管理の観点は、ベンダーへの確認事項として整理しておくと、契約後のトラブルを避けやすくなります。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
| 確認軸 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 費用 | 初期費用、月額利用料、オプション費用、更新時の費用 |
| 標準化対応 | 標準規格への対応、電子カルテ情報共有サービスへの接続可否 |
| 連携 | レセコン、オンライン資格確認、電子処方箋との連携 |
| セキュリティ | 認証、通信の暗号化、ログ、バックアップ、委託先管理 |
| 責任分界 | 障害時の初動、復旧手順、医療機関とベンダーの役割分担 |
| データ移行 | 既存データの移行方法、解約時のデータ返却形式 |
費用の考え方
クラウド型電子カルテの費用は、初期費用が抑えられる代わりに、月額の利用料が継続的に発生する構造が一般的です。費用を比較するときは、毎月の利用料だけでなく、導入時の初期設定費用、オプション機能の費用、数年単位で見たときの総額を確認します。短期的な初期費用の安さだけで選ぶと、長期の総額では割高になる場合もあるため、想定する利用期間を決めて総額で比較するのが基本です。厚生労働省 医療情報化の推進
| 費用項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 初期費用 | 初期設定、データ移行、機器(端末・周辺機器)の費用 |
| 月額利用料 | 基本料金、ユーザー数や機能による変動 |
| オプション | 予約、オンライン診療、連携機能などの追加費用 |
| 更新・解約 | 契約更新時の条件、解約時のデータ返却や費用 |
セキュリティと責任分界で確認すること
クラウド型では、データがベンダー側のサーバーに保管されるため、セキュリティと責任分界の確認が特に重要になります。確認したいのは、通信の暗号化、認証の仕組み、アクセスログ、バックアップの頻度と保管場所、障害時の復旧手順、委託先の管理です。これらはクラウド型かオンプレミス型かにかかわらず必要ですが、クラウド型では医療機関側で直接管理できない部分が増えるため、ベンダーへの確認と契約での明文化がより大切になります。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
責任分界は、障害が起きたときに誰が何をするかを事前に決めておくことです。たとえば、システムが停止したときに、ベンダーが復旧を担う範囲と、医療機関が院内で行う対応を分けておきます。これが曖昧なまま契約すると、障害時に対応が遅れたり、責任の所在で混乱したりします。安全管理ガイドラインの考え方を参考に、医療機関側で管理すること、ベンダーへ確認すること、契約や運用手順に残すことを分けて整理してください。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
導入を進めるときの考え方
クラウド型電子カルテの導入は、製品を決める前に、自院がクラウド型に何を求めるのかを整理することから始めます。初期費用を抑えたいのか、複数拠点で情報を共有したいのか、サーバー管理の手間を減らしたいのか、目的によって重視すべき確認軸が変わります。目的が曖昧なまま比較に入ると、機能の多さや月額の安さだけで判断してしまい、運用に合わないシステムを選ぶ原因になります。まず優先順位を院内で共有しておくことが、後の選定と定着を左右します。
クラウド型は導入して終わりではなく、運用しながら設定を調整していくものです。稼働の直後は、入力の流れが現場に合わない、テンプレートの調整が必要になる、回線の安定性を確認したい、といった課題が出やすい時期です。これらはベンダーのサポートや院内の担当者による調整で解消できる場合が多く、導入スケジュールには稼働後の調整期間や職員研修の時間も見込んでおくと、現場の負担を抑えながら定着を進められます。契約前にサポート体制や問い合わせ方法を確認しておくと、稼働後の不安が小さくなります。
クラウド型を検討する際は、自院の診療スタイルや患者数、スタッフのITへの慣れも考慮に入れると判断しやすくなります。たとえば、紙のカルテから初めて電子化する医療機関と、既存の電子カルテから乗り換える医療機関では、重視すべき点が変わります。前者は操作のわかりやすさや導入時のサポートが、後者は既存データの移行や運用の引き継ぎが課題になりやすい部分です。自院がどちらの状況にあるかを整理しておくと、ベンダーへの質問も具体的になり、比較の精度が上がります。
また、クラウド型は機能の追加や改善がベンダー側のアップデートで反映されることが多く、導入後も機能が追加・改善されていく点が特徴です。アップデートの頻度や、変更内容がどのように通知されるか、現場の操作にどの程度影響するかを、導入前に確認しておくと、稼働後の混乱を抑えられます。長く使うシステムだからこそ、導入時点の機能だけでなく、改善が続く仕組みかどうかも見ておきたい点です。
よくある質問
Q. 電子カルテ クラウドはオンプレミス型より危険ですか。
形だけで安全性は決まりません。クラウド型はデータがベンダー側に保管される分、通信の暗号化、認証、バックアップ、責任分界の確認が重要になります。これらを契約前に確認できれば、クラウド型でも安全に運用できます。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
Q. クラウド型を選ぶとき、費用以外で何を見るべきですか。
標準化対応と連携です。医療DXは標準化と情報共有の方向で進んでいるため、電子カルテ情報共有サービスへの接続や標準規格への対応を確認しておくと、将来の連携や乗り換えで困りにくくなります。厚生労働省 電子カルテ情報共有サービス
Q. 回線が止まったときはどうなりますか。
クラウド型は通信が前提のため、回線が止まると利用に影響します。導入前に、回線が止まったときの診療継続の方法や、ベンダーの障害対応を確認しておくことが大切です。厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版
次のアクション
電子カルテ クラウドを検討する医療機関は、まず自院がクラウド型に求める目的を整理し、費用、標準化対応、連携、セキュリティ、データ移行の確認軸で要件をまとめてください。製品比較は、この要件が固まってから始めると、機能の多さではなく自院に合うかどうかで判断できます。厚生労働省 医療DXについて
次に、ベンダーへ責任分界、障害時の対応、バックアップ、ログ提供、データ返却を質問し、回答を見積書とは別に証跡として保存します。あわせて、電子カルテ情報共有サービスや標準型電子カルテへの対応状況も確認し、導入時期と標準化対応を一枚のロードマップにまとめると、院内での合意形成や予算化の説明がしやすくなります。内閣官房 医療DXの推進に関する工程表
関連記事
参照ソース
- 厚生労働省 医療DXについてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/iryoudx.html
- 厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html
- 厚生労働省 電子カルテ情報共有サービスhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/denkarukyouyuu.html
- 内閣官房 医療DXの推進に関する工程表https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/pdf/suisin_kouteihyou.pdf
- デジタル庁 健康・医療・介護https://www.digital.go.jp/policies/health